空を舞う金魚


カレンダーはお盆休みに突入した。千秋は短いお盆休みにシステム開発部の有志で山間部の河原の施設にバーベキューに来ていた。実は毎年誘われていたけど、実際に参加するのは今回が初めてだった。

本当は今年も不参加のつもりだった。でも砂本に打診されたので滝川と一緒に参加していた。滝川はアクティブな女子らしく、カジュアルプリントのTシャツにグレーのパーカー、ベージュのチノパンにデッキシューズだ。メイクもオフィスメイクより少し明るめ。千秋は勝手が分からなかったので汚れても良いように黒の綿ブラウスに唯一持っていたオリーブグリーンのパンツを合わせた。

「綾城さんのパンツ姿って意外~。買ったの?」

「もう、何年前に買ったのか分からないようなパンツです……。サイズ変わってなくて良かった……」

あまりに着慣れないので恥ずかしいけど、炊事の作業をするには最適だった。千秋の言葉に笑う滝川が、今度一緒にショッピングに行こうと誘ってくれた。
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