初恋キャンディ〜one-way love〜
そうだけど、そんなの面と向かって言いたくない、絶対!!

「へぇ、じゃあ…」

私がただただ、無言で下を向いていると、不意に影が落ちて来た。

「これでも具合悪いって思う?」

そう言うと、だんだん彼の顔が近づいてくる。

思わず反射的に目を瞑ると、頬をそっと何かがかすめた。

「っ!?!?」

はっとして顔を上げると、次に目に写ったのは、恥ずかしそうに目を逸らす勇翔の姿。

そっぽを向いてしまった彼の顔は、これ以上ないというくらい赤く染まっている。

「ふぇ!?」

(待って今、ほ、ほっぺにだったけど…)

私の感覚が間違いじゃなかったら…もし、正しかったとするなら…

ドキドキうるさい胸を押さえて彼を見上げると、そっぽを向いたまま、コクリと頷いたのが分かった。

「!?!?」

わ、私、勇翔にキスされた!?

認識した途端、ブワーッと顔が熱くなる。

心臓がもっとドキドキして、頭の中が彼のことでいっぱいになった。

待って、どうしようこれ…

「意識しちゃうじゃん、、、」

「…して?」

「うぇっ!?」

その一言にびっくりして、もう一度彼を見上げれば…

そこにいた勇翔の表情に、思わず息を呑む。

彼は、今まで見たこともないような表情ではにかんでいた。

例えるなら、好きな人に向けるような…不器用だけど、少し甘さを含んでいて。

相手のことがホントに好きなんだなーって伝わってくるような…そんな感じ?上手く言えないけど…。

この表情、好きだな…直感でそう思った。
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