初恋キャンディ〜one-way love〜
制服おっけー、髪型完璧!スカート丈もよし!

電車の窓を鏡代わりに全身を見返して、降りた先の最寄り駅。

その場でくるっと一回ターンしてみる。よし、完璧!!私は学校に向かう足取りを弾ませた。

校門をくぐると、いつものように、裏庭に足を運ぶ。

…変じゃないよね?!

手鏡を取り出して最終確認をする。

松本莉雨(まつもとりう)は、星彩(せいさん)学園に通う高校2年生。

そして、私がなんでこんなに気合いを入れているのかというと…

「あ、ねーあれもしかして小鳥遊くんじゃない?」

「うっそ、ほんとだー!!え、朝から会えるとかめっちゃラッキーなんだけど♪」

女の子たちの目線の先、フェンス越しにゆっくりと見てみれば、

「オーライオーライ!パスッ!!」

「近藤こっちフォロー頼む!」

カッコよく的確にメンバーに声をかけながら練習をしている、小鳥遊くんの姿があった。

「うわぁ、やっぱりカッコいいなー…」

「なんかもう纏うオーラが違うよね」

「わっかるー!!もう存在してるだけで、世界が輝いて見える、、、」

興奮気味にそう話している女の子たちの声に、心の中で全力で共感しながら、私はもう一度彼を見た。

アーモンド色の髪に、切れ長の目。瞳は僅かに青みがかったラピスラズリ。

そんな彼は、誰がどう見てもカッコいい。てか、もはや美青年。

それに文武両道で、スポーツが得意。

この時点で、もうびっくりするくらい完璧なのに、それを鼻にかけたりしないし…

こんな絵に描いたような男の子、モテないはずないよね…
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