初恋キャンディ〜one-way love〜
目の前の彼は、仲間にパスをまわそうとした敵チームの弱点をつき、素早くボールを奪うと、そのまま軽やかにシュートを決めた。

「うお、海斗ナイス〜!!」

「今のはすごくね!?」

「あっはは、サンキュ」

仲間たちに囲まれて嬉しそうに笑う彼が、一瞬だけこちらを見て、小さく微笑んだ気がした。その仕草に、また胸がキュンとうずく。

いや、単にたまたまで、そんなの気の所為かもしれないけど!

あーあ、今日もカッコいいなぁ…

勘のいい人はもう気づいたかな?

そう、実は私、小鳥遊くんのことが好き。

初恋ははちみつレモン味って、前にどこかで聞いたけれど…

私からしたら、どちらかと言えばビターチョコみたい。

だってこんなの、もはやかなわない恋に等しい。

だって彼はカッコよくて、凄いモテるんだよ?

そんな人を好きになったところで…

平凡以下の私なんかが彼の瞳に映ることなんて、到底できっこない。

でも、ちょっとくらい存在に気づいてもらいたくて、一瞬でもいいから、そのきれいな瞳に私を映して欲しくて…

こうやってお洒落して、ちょっとだけ背伸びしてみたりする。

「松本おはよ」

あーあ、同じ苗字…

私もああやって挨拶とかしてもらえたら、もうそれだけで幸せなのになー…

「ねー、おはよ?」

あーあ、いいなぁ…

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