初恋キャンディ〜one-way love〜
「松本〜!松本りーう!!」

あーあ、いーな…って、え!?!?

びっくりして横を見ると、なんとそこには…

「た、たた小鳥遊くん!?!?」

「あ、やっとこっち見た(笑)」

笑ってこちらを見ている小鳥遊くんが!!

「え、えぇ、なんでー!?」

「何でって…逆にこっちがなんで?」

「は、はいっ!?」

「だからその反応!めっちゃテンパってるじゃん」

いや、だって小鳥遊くんと話してるとか、こんな夢みたいな状況、だれが落ち着けます!?

「だって小鳥遊くんと話せてるとか嬉しいし」

思ったことを隠して誤魔化せるほど器用じゃない私は、あくまでも不自然にならないように、自然な感じでそう言った。

「は、え、なにそれ…っ…すぎなんだけど」

「ごめん、聞こえなかった…えと?」

「っあー…なんでもない。てか、そろそろ時間ヤバいんじゃね?」

「え?!」

慌てて腕時計を確認して、思わず叫びそうになる。

だって始業開始2分前!!ふと周りを見れば、あれだけたくさんいたはずのギャラリーたちは、綺麗にいなくなっていた。

つまり今、校庭の真ん中に二人きりだ…ってそうじゃなくてー!!

「え、え、やば時間ーー!!!」

「やべ、ダッシュだ!!」

全速力でかけ出す小鳥遊くん。

や、え、まって一人だけ遅刻とか絶対イヤ!!

「わ、え、まってよ!!」

数メートル先で立ち止まる彼に慌てて追いつこうとすると、

「…あーもう」

彼はそう言って短く息をつき、今度は走ってこちらまで戻ってくる。

小鳥遊くんが何をするつもりなのか、頭が認識するよりも早く、彼は私の手首を掴むと、校舎に向かって走り出した。

「へ、ちょ、!?」

「松本ガチ遅すぎ。遅刻したらまじでどうすんの?」

いや、まぁ、そうなんだけど!!でもこの状況はちょっとまた別の意味で…

「えぇ、でも!!」

「でもとか言ってる場合じゃないから!」

「う、は、はい…」
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