初恋キャンディ〜one-way love〜
そしてたどり着いた教室。外からそっと覗いてみると、、、

次の瞬間、俺は、彼女から目が離せなくなってしまった。

大切に、いたわるように、軽やかにフルートを吹く彼女。

よく見ると、その頬には涙の跡があった。

時々何かを耐えかけるような、そんな儚げな表情をして、それでも可憐に音を奏でる。

儚くて今にも折れてしまいそうなのに、それでも必死で羽ばたこうと羽根をのばす白鳥のように…

俺は、そんな彼女の姿に、一瞬で心を奪われた。

同時に、こんなことで泣いている場合じゃない、と前に踏み出す勇気をくれた。

そう、それは、俺を恋に落とすには十分すぎる出来事だったんだ。

それからもう会うことはなかったけど、その日からずっと、俺は彼女のことが忘れられなかった。

だから高校に進学して彼女を見たときは、もうほんとに、夢なんじゃないかって叫びそうになったくらい。

しかも高校2年に上がった今年、クラスが一緒になれたなんて、こんなのもう奇跡としか捉えようがない。

「うお、海斗ナイス〜!!」

「今のはすごくね!?」

「あっはは、サンキュ」


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