初恋キャンディ〜one-way love〜
うぅ、ムカつく…いっそのこと勇翔も遅刻すればいいのに、あいにく彼の学校は、今日は創立記念日で休みなのが余計にムカつく…

「うわぁ、どうしようっ、今から自転車飛ばせば間に合うかなー?」

正直、勇翔と言い合っていたせいで、いつも家を出る時間を10分は過ぎてる…間に合いそうもない。

この状況、私からしたらかなりやばいんだけど、こんなこと言ったらまたからかわれるだけだから絶対言えないし…

(ヤバいなー…勇翔に自転車出してもらえたら、多分間に合うけど…)

勇翔は陸上部員だから、漕ぐのがめっちゃ速いんだよね…

さりげなーく彼を目だけで見上げると、あろうことか、目があってしまった。

「う…うわぁ…」

お、送って欲しいけど、そんなこと絶対言いたくない…仮にも年上だからプライドが…

向こうから言ってくれないかなぁ…なんて、こっそり期待しながら見ていると、彼は私の考えていたことを察したのか、いたずらっぽく笑って言った。

「ひま、送ってこっか?」

「…え、い、いいの?」

言われた途端、速攻で「是非!!」って言いそうになったのをグッとこらえて、一応、遠慮するフリをする。礼儀って大事だし?

「いいよ?だって今からチャリとか、絶対間に合わないでしょ?」

あー、なんかめっちゃ上から目線だし…

悔しいけど事実だし、一応送るって言ってくれたから私に言い返せる術はない…

「そ、そんなに送ってくれるっていうなら、お願いしてもいいけどっ?」

「なんでそこ素直じゃないわけ?まぁいいけど(笑)」
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