初恋キャンディ〜one-way love〜
先輩の声は続けた。

「あの子のフルートって、美雨季先生が指導してるらしいんだよね」

「え、そうなの?」

「詳しいことは分かんないんだけど、前に吹部の先輩に話してるの、偶然聞いたことがあって」

「ふーん、どうりで上手いと思った」

「ねねっ、それで?それと先生のストレスと、どう関係あるの?」

「莉雨ちゃんのレッスンに付きっきりだったせいで疲れが溜まって、それがストレスになったんじゃないのかなーって」

「あー、たしかに!てか絶対そうじゃん」

「先生、右上半身の麻痺残っちゃうんでしょ?ピアノもうできなくなっちゃうのかな?」

「わかんないけど、それだったらめっちゃ可哀想…」

「いやほんとにそれ…あーあ、莉雨ちゃんがフルートなんか始めなければこんなことにならなかったのにね、言い方悪いけど」

「始めたとしても、底辺で止まっとけば、先生だってもっと休めたかもしれないのに…変にあんな頂点まで行っちゃうからいけないんだよ」

「あれでもまだ上目指してるとか、前のコンサートのときにカメラ越しで偉そうに言ってたよねー」

「欲張りなのよ、ホント生意気。たかが親の七光りじゃん、オマケみたいなもんでしょ?」

「それなのに上目指すとか馬鹿じゃん、自分は才能の持ち主だ〜とか勘違いしちゃって」

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