初恋キャンディ〜one-way love〜
「あっぶないな、もうなーにっ?!」

「いや、ちょ、待ってごめん、一旦チャリ止めてもいい?」

私の返事を聞くより前に、彼はその場にチャリを止めると、握っていたハンドルに額を押し当てて、そのまま顔を隠してしまった。

「え、大丈夫?」

「ごめんちょっと無理かも…」

「えぇ!?」

もしかして体調悪かったとか?

それならそうだって言ってくれたら、無理に送って欲しいなんて言わなかったのに…

そんなの今更後悔してももう遅い。

とりあえず、ここは何か飲み物とか…買って来た方がいいよね?

私が荷台から降りて自販機を探しに行こうとすると、途端にパシッと手首を掴まれた。

相変わらず顔は隠したままで、そっと一言。

「どこ行くつもり?」

「え、あ、そこらへんで何か飲み物でも買って来よっかな〜って」

「なんで?」

「いや、なんか勇翔体調悪そうだから…」

「どこ見たらそういう判断になるんだよバーカ」

「なっ?!」

こ、こいつ…人がせっかく心配してるのに、バカって言ったんだけど!?

もっと普通はこう、「ありがと」とか素直にお礼言うところじゃないの?

「だ、だって顔隠してるじゃん!!具合悪いのかなって、そんなの誰でも思うでしょ!?」

私がムッとしてそう言い返すと、勇翔は途端に可笑しそうに笑った。

「何それ、もしかして俺のこと心配してくれたの?」

「〜〜っ!」

< 9 / 48 >

この作品をシェア

pagetop