お前じゃないとイヤなんだ
それからしばらく経ったある日のこと。
この日も朝からしとしとと、雨が降り続いていた。
「はぁ……」
無意識に口からこぼれる、ため息。
ジメジメして、ほんと憂鬱な気分。
放課後。昇降口でわたしが水玉模様の傘を広げたところで、いつものようにキミがわたしの隣にやって来た。
「おい。俺、傘ないから……「ねぇ。ーーくん。傘持ってきていないのなら、途中まであたしの傘に入っていく?」
キミがわたしに話しかけているのを遮って、他の女の子が強引に声をかけてきた。
他の子に声をかけられるなんて、珍しい。
しかもキミに声をかけてきたのは、わたしたちの学年で1番可愛いと言われている女の子。
そう言えば、彼女はわたしの幼なじみに気があると、噂で聞いたことがある。