お前じゃないとイヤなんだ
「ありがとう」
女の子に、ニコッと微笑むキミ。
今日は……あの子と帰るのかな?
せっかくの申し出なんだし。
優しいキミのことだから、たぶん断らないよね?
ていうか、わたしの幼なじみ。
学年1可愛い女子と並んでも、ちっとも劣っていない。むしろ、すごくお似合いだ。
そりゃあそうか。
キミは基本無口だけど。
わたしには偉そうで、口が悪いときもあるけど。
整った顔立ちをしていて、背が高くて。
頭脳明晰で、運動神経も抜群。
モテる要素しかない。
中学の頃わたしは、『どうしてあの子が幼なじみなの?』と、女子たちに陰口を言われたこともしばしば。
って、嫌なこと思い出したら、胸が針で何度も刺されたみたいに、チクチクと痛くなってきた。
ただでさえ雨で憂鬱な気分が、更に憂鬱に。
こうなったら、早く帰ろう。
そう思い、わたしがひとりで歩き始めたとき……
「ちょっと待てよ!」