偽装結婚のはずが、天敵御曹司の身ごもり妻になりました
「藍ちゃんみたいな若い子が、この活動に参加してくれるなんて嬉しいわ。リーダーに聞いたときは私も三野さんもびっくりしたのよ」


「ええ、本当に。どうして参加しようと思ったの?」


朗らかで活動的なふたりは、ご自身の伴侶にもきちんと指示を出しつつ尋ねてくるが、それがまったく嫌味ではない。

ふたりの旦那様同士も友人のようで、時折談笑しながら作業を進めている。

穏やかな時間に心が落ち着く。


「チラシでこの活動を知ったんです。出勤時に見かける花たちにいつも元気をもらっていたので、私もなにかお手伝いができたらと思ったんです」


「まあ、そうなの。ありがたいわ。藍ちゃんのご自宅はどのあたり?」


三野さんの問いかけにマンションの場所を伝えると驚くべき返答が返ってきた。


「あの付近の植栽は以前に私が手掛けたのよ。藍ちゃんに喜んでもらえて嬉しいわ」


「すごい偶然ですね! 私、あの花の植え方というか色合いがすごく好きなんです」


「ありがとう。あの配置は夫が考えたのよ」


そう言って三野さんは目を細める。
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