偽装結婚のはずが、天敵御曹司の身ごもり妻になりました
8.幸せの裏側
誰かに頭を優しく撫でられている気がする。
時折、羽のような柔らかなものが頬や額に触れているのを感じる。
その感触が気持ちよくてくすぐったくて、ずっとこのままでいたいと願う。
でもその正体が気になって、重い瞼を必死で持ち上げた。
「――藍、起きたか?」
「櫂人、さん?」
ぼんやりした頭で目の前の婚約者の名前を呼ぶ。
綺麗な二重の目が優しく私を覗き込む。
「ああ、おはよう」
私の前髪をそっとかき上げた櫂人さんが額にキスを落とす。
さっきから感じていた、くすぐったさの正体がわかった。
「寝起き姿は初めて見たが、可愛いな。もっと早く見たかった」
寝起き?
頬を緩めた櫂人さんが横向きに寝そべるような体勢で、片手を私の腰に回している。
もう片方の手は器用に私の髪を梳いている。
均整の取れた身体つきに一瞬見惚れる。
彼の裸の胸から伝わる体温が心地よい。
――なんで、裸?
その瞬間、昨夜の出来事が一気に頭の中に蘇った。
そうだ……私、昨日櫂人さんと……!
思い出した途端、羞恥で体中に熱がこもる。
絶対に今、私の顔は真っ赤になっているはずだ。
時折、羽のような柔らかなものが頬や額に触れているのを感じる。
その感触が気持ちよくてくすぐったくて、ずっとこのままでいたいと願う。
でもその正体が気になって、重い瞼を必死で持ち上げた。
「――藍、起きたか?」
「櫂人、さん?」
ぼんやりした頭で目の前の婚約者の名前を呼ぶ。
綺麗な二重の目が優しく私を覗き込む。
「ああ、おはよう」
私の前髪をそっとかき上げた櫂人さんが額にキスを落とす。
さっきから感じていた、くすぐったさの正体がわかった。
「寝起き姿は初めて見たが、可愛いな。もっと早く見たかった」
寝起き?
頬を緩めた櫂人さんが横向きに寝そべるような体勢で、片手を私の腰に回している。
もう片方の手は器用に私の髪を梳いている。
均整の取れた身体つきに一瞬見惚れる。
彼の裸の胸から伝わる体温が心地よい。
――なんで、裸?
その瞬間、昨夜の出来事が一気に頭の中に蘇った。
そうだ……私、昨日櫂人さんと……!
思い出した途端、羞恥で体中に熱がこもる。
絶対に今、私の顔は真っ赤になっているはずだ。