偽装結婚のはずが、天敵御曹司の身ごもり妻になりました
「コンパも紹介もことごとく藍は断るし、異性と出かけるのも久しぶりでしょ?」


「だってああいう雰囲気、苦手なのよ。お酒も飲めないから場を白けさせちゃったりするし」


「そんなの気にしなくていいでしょ」


異性の友人も多い親友は恋人のいない私を心配し、積極的に場を設けようとしてくれる。

渚には申し訳ないのだけれど飲み会が苦手な私は正直あまり気が進まない。

渚のように気負わずに異性と話せる性格ではないので敬遠してしまう。

高校から大学まで女子だけの環境だったせいかどうも同世代の異性を前にすると少し身構える自分がいる。

その性分が災いしてか、二年ほど前に恋人と別れて以来、彼氏と呼ぶ存在も恋する相手もいない。


「お店の感想教えてね。素敵だったら私も(ゆう)と行きたいから」


渚は学生時代から交際している恋人の名を嬉しそうに口にする。


「了解」


返答して、私たちは業務に戻った。
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