偽装結婚のはずが、天敵御曹司の身ごもり妻になりました
上田さんの突然の訪問から数日が経ち、婚約パーティーはすぐ近くに迫っていた。
彼には上田さんの訪問について話していない。
唯一、貴臣くんにだけは少し話していた。
加えて、渚に指摘された件も話さなくてはと思いながらも多忙な彼の姿を目にすると言葉に詰まる。
さらにはお互いの仕事の都合などですれ違う日も多い。
「藍、ちょっと来て」
珍しく早めに帰宅した櫂人さんとともに夕食をとり、片づけを終えたタイミングで声をかけられた。
ダイニングテーブルの前に立つ櫂人さんはなぜか少し緊張した面持ちだった。
心の中がざわりと揺れる。
先送りにしていた質問が頭の中に浮かびあがる。
「な、なに……?」
「座って」
促され、先ほどまで夕食を食べていたダイニングテーブルにふたり並んで腰かける。
怖くて右側に座る櫂人さんを直視できない。
「これを書いてほしい」
差し出されたのは一枚の薄い紙。
「婚姻届……?」
「俺と結婚してくれますか?」
櫂人さんがふわりと相好を崩す。
同時に目の前に置かれた小さな赤い箱。
その中には煌めく大粒のダイヤモンドの指輪が収まっていた。
彼には上田さんの訪問について話していない。
唯一、貴臣くんにだけは少し話していた。
加えて、渚に指摘された件も話さなくてはと思いながらも多忙な彼の姿を目にすると言葉に詰まる。
さらにはお互いの仕事の都合などですれ違う日も多い。
「藍、ちょっと来て」
珍しく早めに帰宅した櫂人さんとともに夕食をとり、片づけを終えたタイミングで声をかけられた。
ダイニングテーブルの前に立つ櫂人さんはなぜか少し緊張した面持ちだった。
心の中がざわりと揺れる。
先送りにしていた質問が頭の中に浮かびあがる。
「な、なに……?」
「座って」
促され、先ほどまで夕食を食べていたダイニングテーブルにふたり並んで腰かける。
怖くて右側に座る櫂人さんを直視できない。
「これを書いてほしい」
差し出されたのは一枚の薄い紙。
「婚姻届……?」
「俺と結婚してくれますか?」
櫂人さんがふわりと相好を崩す。
同時に目の前に置かれた小さな赤い箱。
その中には煌めく大粒のダイヤモンドの指輪が収まっていた。