偽装結婚のはずが、天敵御曹司の身ごもり妻になりました

「あ、あの、私まだ戸籍謄本を取り寄せていないの」


「以前、準備をしておくと言ってなかったか？」


本籍地が違うので、私がこの区内で提出するにはどうしても必要不可欠な書類だ。

今後婚姻届を提出するために、準備をしておくように以前言われていた。

本当はすでに準備をしていて、自室に保管してある。


「郵送で取り寄せ手続きをしていたんだけど、うっかり郵便小為替を入れ忘れちゃって……もう少し時間がかかりそうなの。ごめんなさい」


気がつけば、するりと口から嘘が零れ落ちていた。


「それなら仕方ない。パーティーの後に提出しようか」


私の苦し紛れの嘘を彼は疑いもせず、すんなり信じてくれた。

この状況に安堵している自分も嫌で仕方ない。

なにより本心を言い出せない自分が情けない。