偽装結婚のはずが、天敵御曹司の身ごもり妻になりました
【栗本副社長婚約。お相手は前見合い相手の縁者か】
派手な見出しの後には、パーティーで白坂さんと私が話していたという証言やなによりも私たちの外見がとても似ているというところを大きく取り上げている。
「栗本副社長は破談になった見合い相手に似た女性をわざわざ捜したとか酷いでしょう? しかもふたりが正式に婚約を発表した翌日にこれよ? タイミングがよすぎない?」
細い指で画面を動かしながら渚が憤る。
もしかして昨夜櫂人さんが言っていた急ぎの仕事はこの対処だったのだろうか?
けれど私はなにも聞いていない。
そのとき、バッグに入っているスマートフォンが着信を告げた。
液晶画面に表示された相手は貴臣くんだった。
渚にことわって応答する。
『おはよう、藍。もう職場?』
「貴臣くん、おはよう。そうだけど、どうしたの? こんな朝早くに珍しいね」
『忙しい時間帯に悪いんだが、今少し話せるか?』
「うん、少しなら」
『ネットニュースを読んだか?』
貴臣くんの問いかけに、スマートフォンを握る指が強張る。
声に動揺が滲みそうになるのを必死にこらえる。
「うん、婚約の記事でしょ?」
『事実無根だと姉貴と栗本副社長が抗議するそうだから気にするなよ。姉貴は対応に追われているから、藍の様子を尋ねてほしいと頼まれた』
蘭子さんの温かな心遣いが嬉しかった。
貴臣くんの返答から櫂人さんはこの件を知っているのだとわかった。
派手な見出しの後には、パーティーで白坂さんと私が話していたという証言やなによりも私たちの外見がとても似ているというところを大きく取り上げている。
「栗本副社長は破談になった見合い相手に似た女性をわざわざ捜したとか酷いでしょう? しかもふたりが正式に婚約を発表した翌日にこれよ? タイミングがよすぎない?」
細い指で画面を動かしながら渚が憤る。
もしかして昨夜櫂人さんが言っていた急ぎの仕事はこの対処だったのだろうか?
けれど私はなにも聞いていない。
そのとき、バッグに入っているスマートフォンが着信を告げた。
液晶画面に表示された相手は貴臣くんだった。
渚にことわって応答する。
『おはよう、藍。もう職場?』
「貴臣くん、おはよう。そうだけど、どうしたの? こんな朝早くに珍しいね」
『忙しい時間帯に悪いんだが、今少し話せるか?』
「うん、少しなら」
『ネットニュースを読んだか?』
貴臣くんの問いかけに、スマートフォンを握る指が強張る。
声に動揺が滲みそうになるのを必死にこらえる。
「うん、婚約の記事でしょ?」
『事実無根だと姉貴と栗本副社長が抗議するそうだから気にするなよ。姉貴は対応に追われているから、藍の様子を尋ねてほしいと頼まれた』
蘭子さんの温かな心遣いが嬉しかった。
貴臣くんの返答から櫂人さんはこの件を知っているのだとわかった。