偽装結婚のはずが、天敵御曹司の身ごもり妻になりました
4.「お前と一緒に暮らしたい」
真木さんの電話は栗本家からの急な呼出を伝えるためのものだった。
『なんでこのタイミングで呼び出すんだ。嫌がらせとしか思えない』
そう言って、櫂人さんはこれ以上ないくらいの渋面を浮かべていた。
適当にかわそうとしたところ、仕事熱心な秘書に迎えに行くとまで言われ、渋々応じたそうだ。
身体中から不機嫌オーラが出ていると感じたのは、気のせいではないだろう。
「……悪い、藍。この後一緒に食事をと思っていたんだが」
眉尻を下げる姿に、本当に残念がってくれているのだと少し心が軽くなる。
今日だけで、彼に対する印象がずいぶん変化した。
同時に私が婚約者で後悔しないのかと何度も心の中で彼に問いかけた。
なにより気になるのは数時間前の唐突なキスの理由だが、いまだ教えてもらえていない。
もしや、ただの気まぐれだったの?
「大丈夫です。このまま帰りますから」
「大事な婚約者をひとりで帰らせるわけないだろ。荷物はどうするんだ?」
「ええと、それは……」
今日彼が購入してくれたドレスは、店に預けてある。
サイズ直しもあるが当日、ここでヘアメイクまで仕上げてくれるという。
どこまでも至れり尽くせりな展開に、唖然とした。
さらに彼は私がドレスを選んでいる間に、ほかの店員と私の普段着や外出着、バッグや靴まで購入していたそうだ。
衝撃的な事実に息を呑んだのは言うまでもない。
『なんでこのタイミングで呼び出すんだ。嫌がらせとしか思えない』
そう言って、櫂人さんはこれ以上ないくらいの渋面を浮かべていた。
適当にかわそうとしたところ、仕事熱心な秘書に迎えに行くとまで言われ、渋々応じたそうだ。
身体中から不機嫌オーラが出ていると感じたのは、気のせいではないだろう。
「……悪い、藍。この後一緒に食事をと思っていたんだが」
眉尻を下げる姿に、本当に残念がってくれているのだと少し心が軽くなる。
今日だけで、彼に対する印象がずいぶん変化した。
同時に私が婚約者で後悔しないのかと何度も心の中で彼に問いかけた。
なにより気になるのは数時間前の唐突なキスの理由だが、いまだ教えてもらえていない。
もしや、ただの気まぐれだったの?
「大丈夫です。このまま帰りますから」
「大事な婚約者をひとりで帰らせるわけないだろ。荷物はどうするんだ?」
「ええと、それは……」
今日彼が購入してくれたドレスは、店に預けてある。
サイズ直しもあるが当日、ここでヘアメイクまで仕上げてくれるという。
どこまでも至れり尽くせりな展開に、唖然とした。
さらに彼は私がドレスを選んでいる間に、ほかの店員と私の普段着や外出着、バッグや靴まで購入していたそうだ。
衝撃的な事実に息を呑んだのは言うまでもない。