丸い課長と四角い私
「一年、アプローチしてるんだよ?
そろそろいい加減に気づいてくれない?」
「あの、えっと?」
再びはぁって、蔵田課長の口からため息が落ちる。
「いくら部下のメンタルケアも仕事のうちだからって、好きじゃなきゃ、ここまでこまめにケアしたりしないよ」
「あの、でも、いっつも私のこと、莫迦にしてますよね?」
「だって君、すぐムキになって面白いから」
……え?
そんな理由?
「まあ確かに、本とか食とかあわないことは多いけど。
でも、君にだったらあわせてもいいかなって思うし」
「はあ」
確かに、いつも意見はあわないけれど。
なんだかんだ云いながら、私の希望を通してくれていた。
「それに、君がおいしそうに食べてる方が、自分の好きなもの食べてるときより嬉しいし」
「はあ」
「だからさ。
……鳴海。
いい加減、俺に落ちろよ」
急に口調が変わった蔵田課長の指が顎を持ち上げ、レンズの向こうの、燃えるような瞳が私を見つめる。
どこを見ていいのかわからなくて視線を彷徨わせたものの。
「どこ見てるんだ。
俺を見ろ」
おそるおそる、蔵田課長と視線を合わせる。
そろそろいい加減に気づいてくれない?」
「あの、えっと?」
再びはぁって、蔵田課長の口からため息が落ちる。
「いくら部下のメンタルケアも仕事のうちだからって、好きじゃなきゃ、ここまでこまめにケアしたりしないよ」
「あの、でも、いっつも私のこと、莫迦にしてますよね?」
「だって君、すぐムキになって面白いから」
……え?
そんな理由?
「まあ確かに、本とか食とかあわないことは多いけど。
でも、君にだったらあわせてもいいかなって思うし」
「はあ」
確かに、いつも意見はあわないけれど。
なんだかんだ云いながら、私の希望を通してくれていた。
「それに、君がおいしそうに食べてる方が、自分の好きなもの食べてるときより嬉しいし」
「はあ」
「だからさ。
……鳴海。
いい加減、俺に落ちろよ」
急に口調が変わった蔵田課長の指が顎を持ち上げ、レンズの向こうの、燃えるような瞳が私を見つめる。
どこを見ていいのかわからなくて視線を彷徨わせたものの。
「どこ見てるんだ。
俺を見ろ」
おそるおそる、蔵田課長と視線を合わせる。