丸い課長と四角い私
社内恋愛
一年間の諸々を経て、俺、蔵田嘉規と彼女、佐々鳴海が付き合い始めて三ヶ月。
部内の、一泊二日の慰安旅行がやってきた。
ふたりっきりではないとはいえ、初めて一緒に旅行なんかに行くんだから、少しくらいは……などと思うのは、俺だけなんだろうか?
視線が合うとさっと逸らされる。
隣に座ると逃げられる。
……帰ったら、お仕置き決定、だな。
だいたい、ナルの奴は俺と付き合っているのを周囲に隠したがる。
別に社内恋愛禁止じゃないし、バレたってかまわないと思うのだが?
第一、最近のナルは可愛くなって、ちょっかいかけてくる奴もいるから苛々する。
このあいだも、食事に誘われていた。
だからその夜。
「ナル。
どうして俺と付き合ってるって云わない?」
顎を掴んで上を向かせ、無理矢理視線を合わせる。
俺の銀縁ハーフリムの眼鏡と、ナルのプラスチックスクエア眼鏡の、二枚のレンズ越しに見える瞳は、小動物のように怯え、視線を彷徨わせている。
「きょろきょろするな。
俺を見ろ」
おそるおそる俺と視線を合わせたナルだったけれど。
みるみるうちにその目には涙がたまっていく。
「だ、だってー」
部内の、一泊二日の慰安旅行がやってきた。
ふたりっきりではないとはいえ、初めて一緒に旅行なんかに行くんだから、少しくらいは……などと思うのは、俺だけなんだろうか?
視線が合うとさっと逸らされる。
隣に座ると逃げられる。
……帰ったら、お仕置き決定、だな。
だいたい、ナルの奴は俺と付き合っているのを周囲に隠したがる。
別に社内恋愛禁止じゃないし、バレたってかまわないと思うのだが?
第一、最近のナルは可愛くなって、ちょっかいかけてくる奴もいるから苛々する。
このあいだも、食事に誘われていた。
だからその夜。
「ナル。
どうして俺と付き合ってるって云わない?」
顎を掴んで上を向かせ、無理矢理視線を合わせる。
俺の銀縁ハーフリムの眼鏡と、ナルのプラスチックスクエア眼鏡の、二枚のレンズ越しに見える瞳は、小動物のように怯え、視線を彷徨わせている。
「きょろきょろするな。
俺を見ろ」
おそるおそる俺と視線を合わせたナルだったけれど。
みるみるうちにその目には涙がたまっていく。
「だ、だってー」