丸い課長と四角い私
それさえも愛おしくて、漏らさずすべて、吸い込んだ。
銀糸をつなげたまま唇が離れると、ナルは熱で潤んだ瞳で、ぼーっと俺を見上げていた。
「俺はいいんだ。
ナルがつらくなければ」
また、その唇に口づけを落とすと、ナルの手が俺のシャツを掴む。
懇願する、その瞳にゾクリとした。
そのままベッドに運び、思う存分ナルを可愛がり……この話は、うやむやになってしまった。
その後。
この話を再びすることなく、慰安旅行の日を迎えてしまった。
確かに社内の旅行で大手を振っていちゃつくことはできないが、少しくらい、と思う。
第一、一緒に暮らしている現在、二日もこんな状況なんて耐えられるはずもない。
悶々としながら迎えた夜の宴会。
課長の俺は当然上座。
なるべく人から離れたいナルは遙か遠くの、下座の幹事の前。
部内の慰安旅行とはいえ、遠すぎる。
苛ついているのをまわりに悟られないように、完璧な笑顔を張り付かせる。
注がれる酒にも、話しかけられる声にも、いつも通りを演じて返しながら、ずっとナルを気にしていた。
「佐々さん、飲んでるー?」
ナルを呼ぶ声に、ピクリと肩が震えた。
銀糸をつなげたまま唇が離れると、ナルは熱で潤んだ瞳で、ぼーっと俺を見上げていた。
「俺はいいんだ。
ナルがつらくなければ」
また、その唇に口づけを落とすと、ナルの手が俺のシャツを掴む。
懇願する、その瞳にゾクリとした。
そのままベッドに運び、思う存分ナルを可愛がり……この話は、うやむやになってしまった。
その後。
この話を再びすることなく、慰安旅行の日を迎えてしまった。
確かに社内の旅行で大手を振っていちゃつくことはできないが、少しくらい、と思う。
第一、一緒に暮らしている現在、二日もこんな状況なんて耐えられるはずもない。
悶々としながら迎えた夜の宴会。
課長の俺は当然上座。
なるべく人から離れたいナルは遙か遠くの、下座の幹事の前。
部内の慰安旅行とはいえ、遠すぎる。
苛ついているのをまわりに悟られないように、完璧な笑顔を張り付かせる。
注がれる酒にも、話しかけられる声にも、いつも通りを演じて返しながら、ずっとナルを気にしていた。
「佐々さん、飲んでるー?」
ナルを呼ぶ声に、ピクリと肩が震えた。