ふたりぼっちの孤城
山吹が肩から手を離して、代わりに手を握ってくれた。


「他に何か気になることはありますか?」


心底わたしを労わるように見つめてくる。


「大丈夫よ。4日目の話に移るわね」


だからわたしの安堵が伝わるように目を細めた。


「はい。お願いします」


だが、4日目の話もスラスラと話せることではない。

4日目に来たのが理沙だと言うと、また緊張感が漂った。

それから起こったことを事細やかに話した。

藤、麻生、柊をわたしに寄越したのは理沙だったこと。
父が山吹と柊の婚姻を望んでいること。
理沙が山吹を持て余していることはわたしの破滅に繋がると言ったこと。
それに対しわたしは山吹を手放さないと結論付けたこと。
最後に勘当されても構わないと言ったこと。

そういう出来事だけではなく理沙の動作や表情についても報告した。

わたしでは気づけたなかったことがあると思ったからだ。


「・・・それで、もしかしたらわたし、盛大に間違えたのかもしれないわ」


さすがに勘当されてもいいはやりすぎたのかもしれない。

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