ふたりぼっちの孤城
それはお互い様か。

私だって血の繋がりがあるだけの他人だと思っている。

戸籍上姉だと認知しているだけだ。


「それは姉上の方ではないですか?」
「何のことです?」


白々しく笑みを向けてきたので私もそれに習った。

無言の攻防があったが、先に痺れを切らしたのは姉の方だった。


「貴方はずっと何を企んでいるんですか?」
「私はただ椿お嬢様の幸せを願っているだけですよ」
「私めには貴方がお嬢様を狭いところに閉じ込めているように見えます」


閉じ込めているなんて心外だ。私は他者から彼女をお守りしているだけだ。


「広いところに連れて行けば彼女が幸せになれるとでも?」


そんなわけがない。

だって彼女は私以外の人と関わっても良い感情を抱かないのだから。

だったらずっと私と2人でいた方が幸せに決まっている。

余裕のある笑みを浮かべる私とは逆に、姉は眉間に皺を寄せた。


「認めるのですね」


姉は何か言いたげな目で見てきたが、わざわざ私が気持ちを汲む必要はない。

< 114 / 190 >

この作品をシェア

pagetop