ふたりぼっちの孤城
椿の拒絶
あれからどうやって車に乗ったかなんて覚えていない。

気づいた時には家に着いていて山吹がわたしに手を差し出していた。

いつもの山吹だ。


「着きましたよ、お嬢さ「触らないで」


何にも変わらない山吹が不気味で、思わず手をはたいてしまった。

頭の中がぐしゃぐしゃだ。

何が何だか分からない。


(ホテルってことは旅行に行ったの？でもいつ？なんで？抱いたって？抱きしめたってこと？そんな言い方するの？あの女性とはいつ知り合ったの？元カノ？)


言えない疑問が増えていって吐きそうだ。


「今、山吹と話したくない」


正確には話しても意味が無い。

だって山吹は何も教えてくれないから。

あの女性が酔っ払いなわけがない。明らかに何かしらの関係がある。

なのに誤魔化そうとした。


「言い訳も聞きたくないわ。1人にしてちょうだい」
「お嬢様お待ちください！」


わたしは無条件で山吹を信じてしまう。

だから距離をとらないと。言いくるめられる前に。

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