ふたりぼっちの孤城
知らなかった。そんなに優秀だったのか。


「ね、ほんと不思議」
「もしかして椿お嬢様に束縛されているとか？」


(束縛･･･)


その言葉はずしりとわたしにのしかかった。


「こら、そんなの聞こえたらクビになっちゃうわよ」
「誰も聞いてないわよ。だってパーティ中よ？」
「確かにね。でも椿お嬢様はお受験に失敗されたから理人さんの実力もそこまでなんじゃ？」
「あー、やっぱり見かけだけなのかしらね」


(違う。山吹は悪くない。･･･悪いのは、わたしの頭だけ)


とても聞いていられなくてその場を後にした。

その後杏に絡まれた。

この日は本当に運が悪かった。嫌なことがどんどん迫ってくる。


「あらお義姉様。いつにも増して辛気臭い顔をしているわね」
「気分が優れないの。だからそっとしてくれないかしら」
「まぁそうなの。てっきりついに理人さんに見放されたのかと思ったわ」
「どういう意味かしら」


なぜ急にわたしが山吹に見放されるという話になるのだろうか。


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