ふたりぼっちの孤城
「どうって、そのままの意味よ。もしかしてお義姉様には難しかったかしら」


杏を筆頭に取り巻きの令嬢方もわたしを笑いの的にする。

わたしが中学受験に失敗し、名門校に通うことが出来なかったから最近やたらと馬鹿にしてくる。

これは対抗のしょうがない。

だってわたしは落ちても杏は受かったのだから。

学力において明確な上下関係が出来てしまった。

わたし自身は今通っているところで満足しているが、そんなのただの負け惜しみにしか聞こえないから言わない。


「都合が悪くなるとすーぐ黙りね。自覚がないの?お義姉様。貴女が中学に落ちたせいで理人さんの経歴に泥を塗ったっていうね」


いつもだったら相手にしない杏の言葉の数々がわたしをズタズタに切り裂いた。

それほどまでにわたしは弱っていた。


「そのせいで今理人さんの評判が悪くなっているのよ。お義姉様のせいで!」


杏の言ったことは間違っていない。

だって現にさっきメイド達が山吹のことを見くびっていた。


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