ふたりぼっちの孤城
(・・・懐かしい)
その次の日なぜ山吹を拒絶したのか事情を説明し、陰口を言っていたメイドを遠方に飛ばしたらしい。
そしてあの日以来山吹はより過保護になったしわたしの傍にいる時間が増えた。
今までよりも視野が狭くなったような気がしたが、そもそもわたしは広い視野を欲していなかったので構わなかった。
わたしと離れている期間でも山吹は食事を作ってくれていたので当然ずっとわたしのために動いていると思っていた。
それが勘違いだったのだろう。
もしかしたらあの期間、山吹には彼女がいたのではないだろうか。
でもわたしが戻ってきたことにより別れざるを得なくなったとか。
それでいきなり別れを告げたからあの女性が山吹を追っていたとか。
全部憶測でしかないけれど。
例え山吹が何をしていたとしてもわたしは責めることが出来ない。
先に山吹を手放したのはわたしだったのだから。
それでも、あの女性と山吹が付き合っていたかと思うと吐きそうになる。