ふたりぼっちの孤城
嫌悪感が止まらない。

嫌だ嫌だ嫌だ。

山吹にわたし以外の特別がいたなんて、認めたくない。


(あの女性にも優しくしたの?あの女性にも手料理を食べさせたの?あの女性の容姿も褒めたの?全部、わたしだけじゃないの・・・?)


頭がズキズキする。心も痛い。


(わたしには嘘つかないって言ったくせに)


何でこんなに苦しいのだろう。
何で裏切られたような気持ちになるのだろう。

元々の原因はわたしにあるのに。

こんな気持ちになる理由なんてはっきり分かっているのに。

嫌だ。認めたくない。

これは嫉妬なんかじゃない。

山吹なんか好きじゃない。

山吹はわたしの唯一の専属侍従であり、家族だから。

他の人と関わってこなかったから、これが恋愛感情だと勘違いしているだけ。

今更恋だって気づいて何になるというの。

今のままで十分幸せだったじゃない。

このままがいいに決まってる。

認めたところで意味がない。

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