ふたりぼっちの孤城


「ご察しの通りあの女性とはお嬢様と離れている期間に出会いました。あの頃の私は生きる意味が見いだせず亡霊のように生きていたした・・・。ですから、貴方よりも大切な人が出来ればと思い様々な女性と関わりました。あの女性はその1人です」


様々な女性と関わった、それだけで胸が酷く痛んだ。


「それで、見つかったの?」


わたしの震える手を山吹はそっと包み込んだ。


「そんなわけないじゃないですか。手を繋ぐことすら嫌悪感を覚えました」
「じゃ、じゃあ・・・わたしと手を繋ぐのも、嫌だったの?」


それなのに何で今わたしの手を握っているの。


「まさか。貴方となら何をしても嫌じゃありませんよ」


それをわたしはどう受け取ればいいの。

優越感に浸って膨張してしまいそうだ。

嫌じゃないのはわたしが山吹の主人だからだろう、と以前ならそう考えていた。

でも山吹への気持ちを自覚したわたしは違う。

山吹の目には確かにわたしと同じ執着が滲み出ている。

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