ふたりぼっちの孤城
光に微笑まれているような美しい笑みだった。


「山吹、好きよ」


その言葉には執着が滲み出ていた。


「貴方は?」


答えなんて決まっているし彼女だって確信している。

それでも私の言葉を求める彼女が狂おしいほど愛おしい。


「私も貴方が好きです。愛しております、私の椿」


椿、という呼び方が心にすとんと落ちた。

あぁそうか。私はずっと彼女を名前で呼びたかったのか。

だから私は心の中で彼女を決してお嬢様と呼ばなかったのだ。

真っ赤に染められた彼女の頬が、何よりも美味しそうに見える。

本能の赴くままに頬にキスを落とすと、彼女は首まで綺麗に染めあげた。


「へっ?」
「ずっと貴方を名前で呼びたかったですし、こうして触れたかったです」


私の言葉で一喜一憂する彼女が可愛すぎでどうにかなってしまいそうだ。


「愛してますよ、椿」


狂おしいほどの愛を込めて。
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