ふたりぼっちの孤城
「初々しくてずっと見ていたいです。ほら、こっちを向いてください」
「嫌よ!着替えるから出て行ってちょうだい!」
ムスッとしたまま言い切ると、山吹は名残惜しそうにそっと離れた。
「非常に残念ですが承知しました」
潔くわたしの言葉に従ったように聞こえたが、未練がましそうに何度も振り返りながら出ていった。
わたしが呼び止めることを期待していたようだがこのタイミングでするわけがない。
そんなことしてしまえばいい加減わたしがおかしくなる。
一気に力が抜けたわたしはそのままベッドに倒れ込んだ。
ルミを抱き締めて溢れんばかりの気持ちを沈めようとした。
(わたし達両思いになったの昨日よね!?なんで山吹はあんなに余裕なの?わたしはいっぱいいっぱいなのに!心臓がもたないわ・・・!!)
思い返せば思い返すほど頬が熱くなっていく。
こんなこと初めてだ。
本当はまだこうして横たわっていたかったけれど、さっさと着替えないと山吹が戻ってくる。
のそのそと起き上がりクローゼットを開けワンピースを上から被った。