ふたりぼっちの孤城
今回も上手く受け流そうと思った。


「・・・それはお義姉様が出来損ないだから放っておけないのよ!理人さんは優しいから!」


だが、その発言はわたしの逆鱗に触れた。


「貴方如きが山吹を語らないで」


山吹が優しいのなんてわたしが1番よく知っている。


「は?」


それを生半可な気持ちで語らないで欲しい。

山吹の優しさは表面上のものだけではない。

分かりにくいところにも優しさが詰め込まれている。

そんなこと、ろくに会話もしたことが無い杏が知るわけがない。


「何本気にして怒っているの?おかしなお義姉様」
「可笑しいのは貴方よ。優秀だと自称するくせに義姉には敬語が使えない。人前で義姉を貶す。これらが有栖川家を貶めているとか、考えたことはあるのかしら?」


そして念の為持っていた扇子で杏の顎をくいっと持ち上げた。


「他家が付け入る隙を作るなんて、風上にも置けないわ」


そして杏の御一行から1歩距離をとり、淑女の礼をとった。


「気分が優れないから先にお暇させていただくわね」
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