ふたりぼっちの孤城
エピローグ　理人の素敵な日常
午前6時半。

アラームが鳴る前に私は目を覚まし、鳴った瞬間そっと止める。

私の腕の中にいる彼女はまだ眠ったままだ。

すぅすぅと小さな寝息が聞こえる。

寝言まで可愛いとは何事か。

先日有栖川椿の名を改め、篠原椿となった彼女の顔をまじまじを見つめる。

昨日の疲れが残っているせいかまだ起きそうにない。

椿の頬にキスを落とし、静かに寝室を後にした。

私はいつも始めに身支度を整える。

椿に少しでも良く見られようと長年頑張り続けた甲斐があって今では10分余りで終えることが出来る。前は30分かかっていた。

次に前日にまとめておいたゴミを出しに行く。

マンションの最上階ということで1階に降りるのに時間がかかりまどろっこしいとたまに思う。

それでも安全面を考えるとここが最適なので文句は言えない。

家に戻るとタオルを総入れ替えし洗濯機を回す。椿の睡眠が妨害されずに済むので静音のものを選んでよかった。

それからキッチンの電気をつけ朝食の準備に取り掛かる。

そろそろ食パンの賞味期限が近いので今日はフレンチトーストを作ることにした。

それと同時並行で昼食の準備も始める。

椿は「愛妻弁当を作ってみたい」と常々言っているが、朝無理に起こしてまで作って欲しいとは思わないので椿が起きれたときにだけそうしてもらっている。

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