ふたりぼっちの孤城
「そこで私が考えた打開案はこうです」


まずお見合いに参加する人は宝来皐(ほうらいさつき)、大蔵柾(おおくらまさき)、そして財前菖蒲の計3人。

皐さんは宝来家の現当主の甥に当たる人物で、柾さんは大蔵家の現当主の実子だが権力争いに巻き込まれていない三男だ。

柾さんと結婚する場合のみ、嫁入りではなく婿入りしてくるとのこと。

そしてそれぞれの女性のタイプは皐さんは昼は淑女夜は娼婦な人、柾さんは男の一歩後ろを着いてくるような人、菖蒲さんはいじりがいがある人らしい。


(周りのお金持ちは全員女の趣味が悪い説あるわよ。父も女の趣味最悪だし、この説はなかなか有力だと思うの)


逆に苦手なタイプは自分よりも頭が良い人だが、悪すぎると話す気になれないという。

それを聞くとわたしは菖蒲さんにある程度の学力はあると思われていたようだが、全然嬉しくない。

全員揃いも揃って無駄にプライドが高い。


(これは一筋縄ではいかなそうね・・・)


わたしが中高共に受験に落ちていることは周知の事実なので頭が良さそうに振る舞ったところで意味がない。

となれば頭が悪そうに振る舞うことが最善だと思ったが、それだと有栖川家に傷がつくと言う。

だからわたしは、ある程度の知能はあるが口が軽いという致命的な欠点のある人というキャラを演じなくてはいけない。

かなり大変そう。
< 28 / 190 >

この作品をシェア

pagetop