ふたりぼっちの孤城


「分かりましたか?」
「が、頑張るわ!」


そう意気込むわたしを、山吹がまるで恋人かのように見守っていることには気づかなかった。





それから6日後、お見合いの日がやってきた。

社交パーティーがちょうど1週間前にあたる。

山吹曰く今までお見合いは2週間から1ヶ月かけて潰していたらしい。

そりゃ潰したくても潰せないわけだ。

本人はかなり悔しがっていたが、そもそも一介の専属侍従が上流階級同士のお見合いを潰せる時点で異常だと思う。

是非これからもその力を存分に発揮して欲しい。

せめてもの抵抗でてるてる坊主を逆さまに吊るしてみたが、見事に晴れてしまった。

恨めしく青空を見ていると、有栖川家の前に無駄に長い高級車が3台並んだ。

ついに3人が来てしまったのだ。


「ようこそおいでくださいました。本日はよろしくお願い致します」
「有栖川家のご令嬢がわざわざお出迎えとは景気がいいね」


先週と全く変わらない調子で菖蒲さんが近づいてきた。

前回山吹に言い返せなかったくせによくやる。


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