ふたりぼっちの孤城
「・・・今日は大事な日ですので」
「そうだね。僕と君にとってとても大切な日になるだろう」


(相変わらず気持ち悪い・・・)


しかも他にも2人いるのにまるで自分が主役だと言わんばかりの態度は常識に欠ける。


「菖蒲、抜けがけするのはスマートじゃないぞ」


(あ、この人はまだまともそうね)


菖蒲さんを注意をしたのは、この場で菖蒲さんを唯一御せる柾さんだ。


「はいはい分かってますよ、柾サン」


素直に言うことは聞くもののどこか侮りを感じるのは、柾さんが大蔵家の後継者にはならないからだろう。

それとまだ一言も発していない皐さんが何を考えているのか気になる。

元々饒舌な方ではないが、今はわたしがこの場をどう治めるのか試しているようだ。


(めんどくさいわね・・・)


正直このままお帰りして頂きたいが、出来ないので山吹の方をちらりと見た。

すると山吹は心得たようににこりと笑い返してくれた。

それだけで安心感が違う。

こほんと一息つき、1歩前へと出て恭しく頭を下げた。

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