ふたりぼっちの孤城
元々わたしの父と付き合う前に2人は付き合っており、継母が父に惚れたことがきっかけ別れたのだが、復縁しそうだという。

何回か逢瀬を重ねているとかいないとか。


(継母の趣味は絶対に不倫だわ。お母様のときだってそうだったもの)


「・・・さぁ。父のプライベートについては答えられない」
「あらそう」


痛いところを突かれたのか柾さんの歯切れが悪い。

さっき菖蒲さんに注意したときとは大違いだ。

恩を仇で返すようだがそんなこと言っている場合じゃない。


(こっちだって人生がかかっているのよ!!)


「じゃあ、柾さんがまだ後継者候補から外れていないって言うのはどうかしら?」
「本当のところは父次第だからよく分かっていないんだ」
「そう。お父様とあまり会えていないのね」


目を掛けられていないのね、と遠回しに言うと眉をひそめた。

コンプレックスらしい。


「それは君も同じじゃないか」
「本当にそう思いますか?」
「・・・・・」


わたしの場合は"あまり"所ではなく"全く"だ。

社交パーティー以外では一切会わない。

有栖川家の現状は家族構成から大体察することができるので、それを思い出したからか気まずそうに目を逸らされた。


「さっきから柾サンに対して失礼じゃないかな?椿嬢」
「いきなりわたしの侍従に突っかかってきた貴方に言われたくないわ」


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