ふたりぼっちの孤城
綺麗な黒髪黒目でまつ毛も長い。ワックスで前髪は少し浮かせていて、下ろした時とのギャップが何とも言えない。


(・・・・・こんなこと本人に言ったら絶対調子に乗るから言わないけどね!
まぁギャップに関してはわたししか知らないけどね!)


女の子たちの黄色い声がまだ聞こえる。

山吹はわたし以外の前であまり笑わないのによくやるわ。わたしも同じく笑わないけど。

だから媚びを売ってもぜーんぶ無駄!山吹は決して靡かない。

それは女の子たちも承知のはず。

そうじゃなかったらあんなに騒げないわよね。

仮にわたしから山吹を奪ったら有栖川家に喧嘩を売るようなものだしね。
親がそれに対して何か言うは別として。

わたしが校舎に入るまで見守っている山吹を尻目に、教室に向かった。

席に着いても誰とも挨拶しないし誰も話しかけてこない。

友達はいない、先生とも必要最低限しか会話をしない、典型的なぼっちJK。それがわたし。

学校で一言も言葉を発しないことなんてざらだ。

入学当初は何人かは話しかけてきたけれど、話が合わなかったのかさっさと別の友達を作ってしまった。

流石に有栖川家レベルの家柄の子なんてそうそう拝めないし、仕方ないことかもしれない。

わたしは別にTheお嬢様という生活をしたことなんてないんだけれど。

休日は山吹と一緒にスポーツセンターに行って運動することなんて日常茶飯事だし、日焼けは良くするし、お風呂だって着替えだって1人で出来る。

強いて言うなら言葉遣いぐらいかしら。

だからそんなに距離とる必要はないと思うのだけれど・・・。

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