ふたりぼっちの孤城
夫婦仲については知らない。

社交パーティーのときぐらいしか見かけないが、まぁ元気なのだろう。

不安は拭えないし寂しいけど、山吹の邪魔はしたくない。

それを悟られぬように、うさぎのぬいぐるみ兼抱きぬいぐるみのルミを抱きしめ顔を埋めた。





来るな来るなと願っていたイベントほど直ぐにやってくる。

テストとか模擬試験とか三者面談とかがわたしにとってはそうだ。

山吹のお休みだってそう。もう前夜を迎えてしまった。

そして現在私は────────


「お嬢様、いい加減寝たらどうですか?」
「や!」


駄々を捏ねていた。


「明日も学校なんですよ?」
「だって4日も山吹に会えないのよ。このままお見送りの時間まで起きてるわ」


てっきり山吹は朝家を出ていくと思っていた。

でも実際はわたしが寝たら出て行くらしい。

だったらどうしても出ないといけないギリギリの時間まで起きておこうと強行手段にでた。

何だかんだわたしに甘い山吹は、無理やりわたしをベットに横たわらせることが出来ない。

せいぜいベットサイドに座らせてルミを持たせるので精一杯だ。

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