ふたりぼっちの孤城


「とぼけないで。麻生が勝手に藤を寄越した件よ」
「あぁなるほど。何か勘違いされているようですが、藤と麻生をお嬢様の配属にしたのは私めです」
「はっ・・・?」


わたしの予想はまた外れた。

理沙は麻生を泳がせていたんじゃなかった。


「元々麻生が乗っ取りを考えているようでしたので私めが先に手を回させて頂きました」
「手を回した!?1日目と2日目、結局わたしの配属に・・・麻生の思惑通りになってたじゃない!」


思わず机を叩いてしまったわたしにも理沙は動じない。

わたしが取り乱すのも計算のうちなのか、声のトーンすら変わっていない。


「えぇ。ですから私めが直接あの二人を指名することによって麻生の企みはバレていると暗に告げたのです」
「わざとわたしに関わらせたのは?貴方ならそんなことしなくても証拠を揃えて麻生に処罰を与えることが出来たでしょう?」
「買い被りすぎですよ」


そう言いながら理沙は薄く笑い、肩を竦めてみせた。

買い被りすぎなわけがない。

だって理沙は山吹の姉だ。

どちらの能力が上かは知らないが、同等の力は持っている。

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