ふたりぼっちの孤城
それから数ヵ月後に父は愛人であった継母と再婚。

息が詰まりそうな日々が始まったのだ。


また雷が落ちた。今度は近い。

雨が窓を叩きつけてくるし風で家が揺れている気さえする。

いつもだったらわたしが寝付くまで山吹がそばに居てくれるのに。


(なんでよりにもよって今日なのよ)


ルミに顔をうずくめても山吹の匂いは薄らとするだけだ。

それが余計わたしを不安にさせる。

このままひとりぼっちに逆戻りしそうだ。

怖い。恐ろしい。

誰かが走ってくる足音がする。


(もしかして、もう父が)


「お嬢様!!!」


ドアを開け飛び込んできた人をわたしが間違えるわけない。


「お嬢様、大丈夫ですか!?帰るのが遅くなり申し訳ありませ「山吹!!」


考えるより先に山吹の元に飛び込んだ。


「どこ行ってたの!?遅いじゃない!!!」


山吹がわたしを優しく受け止め、抱き締め返してくれた。
< 73 / 190 >

この作品をシェア

pagetop