ふたりぼっちの孤城
理人の忠誠
さっきまで泣きじゃくっていた私の可愛い人は、しばらく頭を撫で続けると腕の中でスースーと寝息を立て始めた。

目元には涙の跡が残っている。

やはり無理をさせてしまっていたようだ。

そっと抱き上げベッドへと運ぶ。

下ろそうとした時に彼女が私の服をギュッと握りしめていることに気づいた。
まるで縋り付くように。

これも全部彼女を1人にした私のせいだ。

離れ難いが自身を戒めるために彼女の手を放そうとした。

だが必死に掴んでいる手が可愛らしくて躊躇する。

悶々としていると彼女が身をよじり私の首元に擦り寄ってこられた。


「ん、ゃまぶきぃ･･･」


しかも愛らしい寝言付きで。

私は彼女に弱い。

泣け無しの理性はあっという間に溶けてなくなり、自然な動作でポスンとベッドに沈みこんだ。

布団をかけ寝る体勢を整える。

明日起きたら彼女はどんな反応をするだろうか。

怒るだろうか。
それとも私がいることに安堵するだろうか。

きっと恥ずかしさと嬉しさで顔を真っ赤に染めるんだろうな。


(･･･本当に愛らしいお方ですね)


彼女はすっかり熟睡している。

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