ふたりぼっちの孤城
彼女はそのことに気づいているのだろうか。


(きっと気づいていますよね、彼女は聡いですから)


学力とはまた別の賢さを彼女はもっている。

それらは主に日常生活で発揮されている。

妙に勘が働くところだとか、義妹を言い負かすときだとか。

それでも尚私の言うことを信じてくれていることが何より嬉しい。

私は彼女のためならなんでも出来る。

彼女の傍に居る時だけ、私は心が凪ぐ。

だからあの日、本当に死を宣告されたのかと思った。

それから始まった彼女が私を遠ざけた期間。

思い出すだけで死にたくなる過去だ。
< 93 / 190 >

この作品をシェア

pagetop