ふたりぼっちの孤城
「あのぉ」
「何でしょうか」
知らない女性が話しかけてきた。
やけに露出度の高い服を着ていて、胸の谷間が見える。
その女性が上目遣いで首を傾げた。
「良ければそこで、一緒に飲みませんか?」
(あぁ、逆ナンですか)
「すみませんが・・・─────」
断ろうとしたが、踏みとどまった。
「いえ、行きましょうか」
ニッコリと笑いかけると女性は腕を絡ませてきた。
胸が当たっているのはわざとだろう。
遊び慣れている。
彼女が私を必要としないのなら、私は何に生きる理由を見い出せばいいのか分からない。
彼女以外に大切な人が出来れば、彼女がいない穴を埋めることが出来ると思った。
だから女性の誘いにのった。
振り返れば黒歴史でしかないのだが、この時の私はそれぐらい頭が働いていなかった。
「ほらぁ〜あなたも触って♡」
飲むだけ飲んだあと自然な流れで寝床を共にすることになった。