聖女三姉妹 ~本物は一人、偽物二人は出て行け? じゃあ三人で出て行きますね~
④
冒険者ギルドに入ると、ボクはいろんな視線を集めた。
受付にいるお姉さんも微妙な表情で見ている。
ボクの容姿は目立つし、何より一人だから皆も不思議がっているのかもしれない。
そんな視線を気にしながら、ボクは受付に近づく。
「すみません! 冒険者登録ってここで出来るんですか?」
「え、はい。可能ですよ」
「じゃあお願いします」
「かしこまりました。ではこちらの必要事項の記入と、登録手数料をお支払いください」
「はーい」
カキカキと書類に名前を書く。
希望理由という欄には、昔からの憧れだったと記入した。
それから空欄を埋めていって、書き終わった書類を受付のお姉さんに提出する。
「お願いします」
「はい。確認いたしますので、しばらくお待ちください」
しばらく待つ。
その間も、周囲からの視線が気になって仕方がない。
明日からは目立たないように、フードでも被ってきたほうがいいのかな。
二分くらい経ってから、受付のお姉さんが戻って来た。
手にはカードを持っている。
「お待たせいたしました。こちらが冒険者カードになります。冒険者としての身分を証明する物ですので、依頼中は持ち歩くことをお勧めします」
「はい!」
「続いて、これは任意なのですが、冒険者についての説明をご希望されますか?」
「あっ、ぜひお願いします!」
受付のお姉さんはニコリと笑う。
最初にギルドについての説明があって、その後から依頼受注に関する話をされた。
「依頼はあちらのクエストボードから選んでください。難易度な内容によって受注可能人数、報酬などの条件が異なります。最初は簡単な依頼から受けて、慣れてきてから難しい依頼に挑戦することをお勧めしています」
「なるほどぉ~」
「それとこれが一番重要ですが、冒険者になったばかりの方は、基本的に一人では依頼を受けられません」
「えっ、そうなんですか?」
「はい。一か月間は、必ず二人以上のパーティーで依頼を受けて頂きます」
受付のお姉さんの話によると、これは最近になって決まったことらしい。
何でも新人の冒険者が無茶をして、これまでに何人も命を落としているからだという。
「で、でもボクこの街に来たばかりで、知り合いとかもいないし」
「でしたらクエストボードを確認すると良いです。あそこには依頼以外にも、パーティーメンバー募集の張り紙もありますから」
「わ、わかりました」
とにかくパーティーに入らないと、冒険者として働けないのか。
少なくとも一か月はお世話になれる人たちを見つけないと。
「説明は以上になります。何か質問等はございますか?」
「いいえ、大丈夫です! ありがとうございました」
「はい。では最後に一つだけ――」
そう言って、お姉さんは窓口からボクに顔を近づける。
耳元でこっそりと言う。
「パーティー選びは気を付けてくださいね? 貴女みたいに可愛い女の子は、変なトラブルに巻き込まれやすいですから。くれぐれも、危ない人たちには関わらないように」
「はい!」
お姉さんは心配してくれていたようだ。
初めて会ったばかりのボクに、親切にしてくれて嬉しい。
ボクはニコリと笑ってお礼を言う。
「ありがとうございます」
「いえいえ。何かございましたら気兼ねなくおっしゃってください」
冒険者ギルドはもっと怖い場所だと思っていたけど、何だかホッとする。
さて、さっそくパーティーを探さないと。
クエストボードに行けば募集の張り紙があるんだっけ?
後は変な人たちに関わらないように……
ふと、ホールの端っこに座る一人の男性に目が行った。
どことなく危ない雰囲気の中年男性だ。
左腕がない所為もあって、目に留まったのかもしれない。
あの人……一人かな?
でもでも、おじさんだしちょっと怖そう。
お姉さんにも言われたばかりだから、ああいう人には関わらないようにしないと。
でも、何でだろう?
悪い人じゃなさそうって感じがする。
それに……寂しそう。
「あの、もしかしてパーティーを探してるのかな?」
不意に後ろから話しかけられた。
バッと勢いよく振り向くと、三人の若い男性三人が立っていた。
ボクに声をかけたのは、真ん中にいる人だろう。
「ボクですか?」
「そう。良かったらウチに入らない? ちょうど一人募集しようと思ってたんだよ」
「え、いいんですか?」
「うん。そんなに強くないけど、俺たちのパーティーで良ければ」
見た目は普通のやさしそうなお兄さんたち。
快く声をかけてくれたし、たぶん悪い人たちじゃなさそう。
「ぜひお願いします!」
だからボクは、彼らのパーティーに加わることにした。
「ありがたいよ。この間に一人抜けちゃって、全然新しい人が見つからなかったんだ」
「そうだったんですか?」
「うん。中々ソロで活動している人って少ないからね」
ボクはチラッとおじさんに目を向ける。
ソロというなら、あの人も当てはまりそうだけど……
「あぁ~ あの人には関わらないほうが良いよ」
「えっ、どうしてですか?」
「ベテランらしいんだけど、簡単な依頼しか受けないし、基本的に一人でいる変わり者だからね。変に話しかけると、襲われるかもしれないよ」
「……そんなことはないと思うけどなぁ」
と、ボクは小さく呟いた。
受付にいるお姉さんも微妙な表情で見ている。
ボクの容姿は目立つし、何より一人だから皆も不思議がっているのかもしれない。
そんな視線を気にしながら、ボクは受付に近づく。
「すみません! 冒険者登録ってここで出来るんですか?」
「え、はい。可能ですよ」
「じゃあお願いします」
「かしこまりました。ではこちらの必要事項の記入と、登録手数料をお支払いください」
「はーい」
カキカキと書類に名前を書く。
希望理由という欄には、昔からの憧れだったと記入した。
それから空欄を埋めていって、書き終わった書類を受付のお姉さんに提出する。
「お願いします」
「はい。確認いたしますので、しばらくお待ちください」
しばらく待つ。
その間も、周囲からの視線が気になって仕方がない。
明日からは目立たないように、フードでも被ってきたほうがいいのかな。
二分くらい経ってから、受付のお姉さんが戻って来た。
手にはカードを持っている。
「お待たせいたしました。こちらが冒険者カードになります。冒険者としての身分を証明する物ですので、依頼中は持ち歩くことをお勧めします」
「はい!」
「続いて、これは任意なのですが、冒険者についての説明をご希望されますか?」
「あっ、ぜひお願いします!」
受付のお姉さんはニコリと笑う。
最初にギルドについての説明があって、その後から依頼受注に関する話をされた。
「依頼はあちらのクエストボードから選んでください。難易度な内容によって受注可能人数、報酬などの条件が異なります。最初は簡単な依頼から受けて、慣れてきてから難しい依頼に挑戦することをお勧めしています」
「なるほどぉ~」
「それとこれが一番重要ですが、冒険者になったばかりの方は、基本的に一人では依頼を受けられません」
「えっ、そうなんですか?」
「はい。一か月間は、必ず二人以上のパーティーで依頼を受けて頂きます」
受付のお姉さんの話によると、これは最近になって決まったことらしい。
何でも新人の冒険者が無茶をして、これまでに何人も命を落としているからだという。
「で、でもボクこの街に来たばかりで、知り合いとかもいないし」
「でしたらクエストボードを確認すると良いです。あそこには依頼以外にも、パーティーメンバー募集の張り紙もありますから」
「わ、わかりました」
とにかくパーティーに入らないと、冒険者として働けないのか。
少なくとも一か月はお世話になれる人たちを見つけないと。
「説明は以上になります。何か質問等はございますか?」
「いいえ、大丈夫です! ありがとうございました」
「はい。では最後に一つだけ――」
そう言って、お姉さんは窓口からボクに顔を近づける。
耳元でこっそりと言う。
「パーティー選びは気を付けてくださいね? 貴女みたいに可愛い女の子は、変なトラブルに巻き込まれやすいですから。くれぐれも、危ない人たちには関わらないように」
「はい!」
お姉さんは心配してくれていたようだ。
初めて会ったばかりのボクに、親切にしてくれて嬉しい。
ボクはニコリと笑ってお礼を言う。
「ありがとうございます」
「いえいえ。何かございましたら気兼ねなくおっしゃってください」
冒険者ギルドはもっと怖い場所だと思っていたけど、何だかホッとする。
さて、さっそくパーティーを探さないと。
クエストボードに行けば募集の張り紙があるんだっけ?
後は変な人たちに関わらないように……
ふと、ホールの端っこに座る一人の男性に目が行った。
どことなく危ない雰囲気の中年男性だ。
左腕がない所為もあって、目に留まったのかもしれない。
あの人……一人かな?
でもでも、おじさんだしちょっと怖そう。
お姉さんにも言われたばかりだから、ああいう人には関わらないようにしないと。
でも、何でだろう?
悪い人じゃなさそうって感じがする。
それに……寂しそう。
「あの、もしかしてパーティーを探してるのかな?」
不意に後ろから話しかけられた。
バッと勢いよく振り向くと、三人の若い男性三人が立っていた。
ボクに声をかけたのは、真ん中にいる人だろう。
「ボクですか?」
「そう。良かったらウチに入らない? ちょうど一人募集しようと思ってたんだよ」
「え、いいんですか?」
「うん。そんなに強くないけど、俺たちのパーティーで良ければ」
見た目は普通のやさしそうなお兄さんたち。
快く声をかけてくれたし、たぶん悪い人たちじゃなさそう。
「ぜひお願いします!」
だからボクは、彼らのパーティーに加わることにした。
「ありがたいよ。この間に一人抜けちゃって、全然新しい人が見つからなかったんだ」
「そうだったんですか?」
「うん。中々ソロで活動している人って少ないからね」
ボクはチラッとおじさんに目を向ける。
ソロというなら、あの人も当てはまりそうだけど……
「あぁ~ あの人には関わらないほうが良いよ」
「えっ、どうしてですか?」
「ベテランらしいんだけど、簡単な依頼しか受けないし、基本的に一人でいる変わり者だからね。変に話しかけると、襲われるかもしれないよ」
「……そんなことはないと思うけどなぁ」
と、ボクは小さく呟いた。