学校の怪談
☆☆☆

なにかに心当たりがあった怜美がやってきたのは後者裏だった。


花壇には沢山の花が咲いていて、用務員の先生が草むしりをしている。


この学校に一番長く勤めていて、猫の世話もしてくれている先生。


さすがに100年も生きているわけじゃないけれど、なにかヒントになることはあるかもしれない。


「先生!」


走ってここまで移動してきた怜美は息を切らしていて、用務員の先生は驚いた表情を浮かべた。


「君は確か福永さんだね? どうしたんだい、そんなに慌てた様子で」


「あの、実はまだ聞きたいことがあって……」


怜美は呼吸を整えてから、学校に住み着いている猫について質問をした。


「あの猫たちならずーっと前から住み着いているみたいだよ」


「その中で、生徒の家にもらわれていった子がいるはずなんです」


「そりゃあ、何匹かはいると思うよ? それがどうかしたのかい?」


「猫たちがもらわれていった家のことを教えてもらいたいんです。……100年前の」


最後だけとても小さな声になってしまった。
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