学校の怪談
とても幽霊には見えない猫田さん。


こうして会話することもだんだん抵抗がなくなってきた。


「それは僕も不思議です。普通は僕を認識することはできないし、この扉に触れることもできないはずなのですが」


だから誰も開かずの扉を開くことができないんだと、怜美は納得した。


「もしかして私には不思議な力があったりして!?」


今まで幽霊も化け物も見たことはなかったけれど、この瞬間に開花したのかもしれない。


「そうかもしれないですね」


猫田さんは答えてから腕組みをしてため息を吐き出した。


そういえばさっき『あぁしまった。とんでもないことになった』って言ってなかった?


「なにか困ったことがあったんですか?」


「実はこの扉が開いたときにかくりよから3人の霊が出てきてしまったみたいなんです」


猫田さんがふわふわをくせっ毛をくしゃくしゃとかいて答える。


あ、そういえば扉を開けた瞬間何かが出てきたのを見た。


「あの、それってもしかして……私のせい、ですか?」


もしかしなくてもそうだと思うのだけれど、恐る恐る質問する。


猫田さんは一瞬怜美へ無言の視線を向けてそれから「そんなことはないですよ。僕がみんなを束ねていなかったのが悪いので」と、微笑んだ。


一応優しい顔をしてくれているが、今の一瞬の間が気になる。


怜美は気まずい気分になりながら「幽霊がこっちに出てきたら、なにかダメなことがあるんですか?」と、質問を重ねた。
< 11 / 128 >

この作品をシェア

pagetop