学校の怪談
☆☆☆

それから怜美は小さな三毛猫を抱っこさせてもらった。


ただ、「この子は耳が聞こえないようです」と、施設の人から説明も受けてしまった。


猫田さんが考えていた懸念は的中してしまったのだ。


しかし、怜美の腕の中で眠る子猫はそんなこと気にならないくらい、無条件に愛らしかった。


ふわふわの毛、小さな体、呼吸をするたびに上下する腹部。


そのどれもに心が惹かれていく。


猫田さんの子孫だからとか、そういんじゃない。


「私、この子がいい!」


怜美は勢い良く顔を上げて、母親へ向けてそう言った。


猫田さんが横で驚いた表情を浮かべている。


「可愛いけど、その子は耳が聞こえないのよ? 目を離したら危ない目にあうかもしれないのよ?」


「わかってる。外に出さないようにすればいいんだよね?」


「家の中でだって安心できないわよ。音で危険を察知できないんだから」


「それなら私がずっと一緒にいてあげる。学校に行っている間はゲージに入れておけばいい。そうでしょう?」


「でも……」


動物を飼うことは承諾してくれた母親だが、さすがに渋い顔をしている。
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