学校の怪談
深呼吸で緊張をほぐしてチャイムを鳴らす。


家の中からピンポーンと音が聞こえてきて、すぐに玄関へ向かって歩いてくる足音も聞こえてきた。


怜美は背筋を伸ばして唾を飲み込んだ。


「はい、どなた？」


玄関を開けてくれたのは４０台半ばくらいの女性だった。


白いエプロンをしていて家の中からは甘いお菓子の匂いがしてきている。


怜美は思わず鼻を引くつかせてしまい、隣にいるエミにつつかれて我に返った。


「えっと、私福永怜美って言います」


そう言って頭を下げる。


「○○小学校の５年生で、学校新聞を作っています。それで、今回楠エミさんのことを風化させないように記事にさせていただきたいと思ってきました」


これはここに来るまでに３人で決めた嘘だった。


どうやってエミの両親に信じてもらって話を聞きだすか。


学校新聞という案はエミが出したものだった。


生前、何度か携わったことがあるらしく、すぐにひらめいたらしい。
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