学校の怪談
「まぁそうなの」


怜美がエミと同じ小学校であることは、ネームと制服を見ればわかる。


エミの母親はすぐに怜美を家の中に招き入れてくれた。


通されたリビングには大きなソファがあり、怜美はそこに座った。


「ちょうどクッキーが焼けたところなの。どうぞ」


「ありがとうございます!」


ひときわ元気に挨拶をして、焼きたてのクッキーを口に入れた。


甘い香りが口いっぱいに広がりほっぺたが落ちてしまいそうだ。


「私のお母さん、おやつ作るのが得意なんだよ。この前はチョコレートだった」


エミはそう言い、テーブルに置かれたクッキーに手を伸ばす。


どうするのかと思ってみていれば、エミが持ったのはクッキーの中から抜け出した、透けたクッキーだった。


クッキーそのものではなく、クッキーにこめられた念とでもいう感じだ。


「こうして取れば、食べることもできるの」


エミはへへっと笑顔を見せてクッキーを口に運ぶ。


「うん、やっぱりお母さんのクッキーは最高だね!」


そう言って微笑んだ表情がゆるゆるとしぼんでいく。


猫田さんも、さっきから険しい表情で部屋の中を見回している。
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